このレビューはネタバレを含みます
中身を愛していたつもりでも、それを区別する術は外見に依存してしまう皮肉と、韓国ならでは(とも言いきれないが)のルッキズムが生む齟齬に拠った悲劇。
キム・ギドクの映画は全てがめちゃくちゃで、ともすればふざけているようにしか見えぬショットが、何故こうも自然と映画に溶け込めるのかが本当にわかりません。本作で言えば、整形前の顔をお面として貼り付けるシーケンスとかね。可笑しいのに怖くて、怖いのに哀しい。
蚊帳の外の傍観者としてマヌケな面で物語を眺めている観客を、一瞬にして当事者へと引きずり込むクライマックスが最高。私はこういう作品に出会うために映画を見ています。