恋人が他の女の元へと去ってしまうという不安から整形をして絶対の愛を手に入れようとする女とその恋人の姿を描いたラブストーリー。
初のキム・ギドク監督の映画。ギドク監督の映画はどうしても難解そうで手が出せなかったけれどこの映画はハ・ジョンウが出演しているからとやっと観るに至った。観る前のイメージ通り難解ではあったが恐らく他のギドク監督の映画と比べると分かりやすい方なのかなと。物語自体は分かる。女が整形した理由も分かる。でも結末が分からない。一体どういうことなのだと。なぜあそこまで翻弄していたのかわからなかった。きっとこの映画も明確な結末や物語ではなくてそこに組み込まれている監督の伝えたいことを読み解かなければいけない映画なのだと思う。監督がこの物語を通して何を伝えたいのか。顔を変えてしまえば愛は終わるのか。それとも愛したのは中身であってその愛は永遠に続くのか。そんなことを描いていたのだと思った。女は男の愛を繋ぎ止めるために整形した。でも実際はそんなこと必要なかったのではないかと思う。冒頭のベッドのシーンで私の顔に飽きたんだとかを女が男に言っていた。そこで男がそんなことないと言ってあげてたらこんな結末にはならなかったのではないか。男はずっと愛していた。確かに他の女に目を奪われることはあってもやっぱり女を愛していた。誰しも長く交際していると相手が自分には気がないんじゃないかと不安になることはあると思う。もし常に愛を伝え合っていたらそんな不安は浮かばないと思う。永遠の愛は存在する。でもその永遠の愛に気付けなければそれを手に入れることは出来ないのだと思う。そんなことを考えさせられる深いラブストーリーだった。
他にもキム・ギドク監督の映画で気になるものはたくさんあるから怯えずに観ていきたい。最近はどうしても大作映画だったり短い映画だったり派手なアクション映画だったりとどうも楽に観れるものばかりを選んでしまっている。映画を観て何かを感じてその映像から色々なことを考えていくことをやめてしまっていた。この映画をきっかけにそういった映画の楽しみ方を取り戻していきたいと思った。