【どいつもこいつもキチガイだ】
39歳、職業刑事。彼にモラルという言葉は通じない。全てにおいて暴力で封じ込める男の生き様を描いた一作。
北野武監督デビュー作品。
処女作にして高い完成度と北野武にしか出せないオリジナリティが確立されてあり、代名詞でもあるバイオレンスに関しても衝撃的なOPで惹かれない人はいないであろう。
キタノブルーが程よい感じで香り、緊張感の中に挟まる笑いはこの当時から。狂気に正当性を求めるなと言わんばかりの暴力の連続。そこにルールやモラル、倫理観はなく、「どいつもこいつもキチガイだ」というセリフはその通り。
演出においても敢えて奇妙にズラすカメラワークが不安を与え、役者の狂気によってとんでもないシーンを生み出す。タケシの映画で凄いのは、たとえ生活している中で見た事がないもの(そもそも映画)を「非現実的」に感じさせない所だ。いけない世界を間違って覗いてしまった感じ。最高だ。