コミヤ

その男、凶暴につきのコミヤのレビュー・感想・評価

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)
4.3
「どいつもこいつもキ●ガイかよ、、」

武のデビュー作。

対話よりもまずは手を出す暴力刑事と麻薬組織による血で血を洗う暴力の連鎖の話。

武映画はファンからの評判があまり良くないHANA BIから見たので、作品に共通する特徴のようなものはまだよく分からないけどところどころに見られる斬れ味抜群の演出(特に白竜絡みのシーンやチンピラを覆面パトカーで轢くシーン)やどこか笑いを醸し出す独特の間(娘と知らぬ間にヤっていた男を階段で蹴飛ばし、その後も歩きながらひたすら蹴ったり殴ったりするシーンとかもう笑いを堪えられなかった)などこの時から存在していたのだと感じられた。

また優れた暴力映画には共通するのかもしれないが、武映画は暴力を描くだけでなく、その結果としての血や死をしっかりと描くからこそそれらの描写に恐ろしさを感じると同時に引き込まれる。金属バットで殴られた武の部下の頭から血が吹き出すシーンや白竜と一騎打ちの時に間一髪で武が避けた銃弾が通行人の女性の頭に被弾するシーンなどでそう思った。宇多丸さんが確か品川監督の「ドロップ」をレビューした時に「武映画の暴力が怖いのは、武さんが暴力というものを本当に怖いものだということを自覚しているから」と言っていたがそのことがなんとなく分かった気がする。日頃から暴力振るってる人じゃないと出せない怖さがあるのだと思う。

遠藤憲一、佐野史郎、平泉成など強面俳優の若い頃が見れたし面白かった。
コミヤ

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