どんとこい侍

私は貝になりたいのどんとこい侍のネタバレレビュー・内容・結末

私は貝になりたい(1959年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2023年8月、CSで視聴。

これは私の確認不足ですが、中居正広さん主演版を録画したと思っていたので、再生してまずモノクロ(しかも当時の裁判映像?)だった事にびっくりした。

「穏やかな日常を送っていただけなのに戦争に巻き込まれ、もしかしたら誰にでも起きうる不幸を描いた名作」という予備知識はあったけれど、1959年公開…ということは終戦から15年後。貴重な子供時代と家族が奪われ、当時のことを思い出したくも話したくもない世代がちょうど親になり、この作品がわが子含む次の世代に戦争を伝える役割を持っていたのかな。

繰り返される「長官の命令は天皇陛下のご命令!絶対服従!」が切ない。「二等兵は牛や馬とおなじ」というのは実体験の感想なのだろうな…
当時のお偉い様方に「国民の命を馬や牛どころか虫けらのように思われてるのではないですか?」と聞き返したい。(「負けを認めたくない」「どうにかして一泡吹かせたい」悪あがきが大事になってしまって、実際そう思ってたから片道燃料だけで特攻させるなんて思いついたんだろうけど…外国から見たら見栄の為に自ら戦力を削って攻撃してくるの本当にクレイジーだし自爆テロと同じだと思う。)

なぜ「お国のために」と駆り出され従って戦争から帰ってきた一国民が絞首刑にさせられるのか…全て誰かの命令で左右される命。「代表して死んでくれると思う」の期待に反して、お偉い様方は「全部自分達のせいです。戦争すると決めて国民を先導して洗脳した結果です」と庇ってはくれない。
妻子がいてもその愛は救いにならなかったのがつらい…裁判を通して時代や立場が違ったら、平気で他人を殺したり我が身可愛さで裏切ったりが出来るようになってしまうのが戦争だという事実が強かったのか。やるせなさや国から大切にされず守られることもなかった悲しみや誰に向けたらいいのか分からない恨みつらみ全部含めて、「戦争」を始めた「人間」というものがもう心底嫌になったんだなとよく分かった。

床屋のセット?手つき?カメラ位置?顔のアップ?が少しコントっぽいというか、ドリフ感あるなと何度か思ってしまった。フランキー堺さんのことを知らないので、千鳥ノブ似として認識。