Kuuta

インディ・ジョーンズ/最後の聖戦のKuutaのレビュー・感想・評価

3.8
・明らかにジョン・フォードなオープニング。カメラが馬の隊列に寄ると、乗っているのは子供(リバー・フェニックス)であり、彼は馬に飛び乗れない。フェイブルマンズを踏まえるまでもなく、今作は父としての西部劇を追いかける「子供の映画」だ。

旅の最後に白い民族衣装を身につけ、荒野を駆ける。夕陽と地平線を捉えたラストショットは、スピルバーグが愛してやまないアラビアのロレンスのオマージュだ。今作はフォードを受け継ぎ、ロレンスのような活劇を完成させる映画だと言える。

・手品の箱から逃げる場面をワンカットで見せる。ブロディが捕まるのは騙し絵的なトラックの荷台。自分の内の聖なるものを探す旅とは、表面的な嘘を重ね、「アーリア人種の優生学」というフィクションで世界を支配しようとした、ナチスとの戦いに他ならない。冒頭でインディはFactの重要性を生徒に説いている。焚書=聖書や学問への冒涜を重ねたナチスに、シュナイダー博士は違和感を抱き、ドノバンに偽の聖杯を渡している。

インディ自身も、無法者から帽子を受け継いだ存在だ。殺人を厭わない下品な姿勢を父に咎められていた。しかし「本」を読み解き、父を救おうという一心で騙し絵の橋を渡る。正しくフィクションを操る、信仰を備えた「大人」になる、という綺麗な話に見える。

・冒頭の楽しさはシリーズ屈指。ボケ倒す親父どもにツッコミながら成長していくインディも良いのだが、彼の奔放な振る舞いが抑え気味なのはやや物足りない。77点。
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