ハンスウ

愛は霧のかなたにのハンスウのレビュー・感想・評価

愛は霧のかなたに(1988年製作の映画)
4.2
これは公開当時というか、VHSビデオリリース当時かな、けっこう熱心に観てたんですよね。なんとなく90年代に観たような記憶があったので88年の製作だったというのが意外です……。ダイアン・フォッシーという動物学者を描いたノンフィクションが原案ですけど、この本も読んだりしてました。これもまたヒドい邦題がつけられてますけど、アフリカのジャングルの奥深い山にゴリラが群れで住んでるんですよ。その山に深い霧がかかることがあるから「霧の中のゴリラ」っていうタイトルなんだけど、そのままでいいのにね😠

この映画を観るまでは、私が思ってたゴリラは全部ゴリラだったんですけどゴリラにも当然種類があるんだということを知りました。本作に登場するのはマウンテンゴリラっていうゴリラで、特に雄はでかく成長して背中の毛が銀色に染まることからシルバーバックと呼ばれたりしています。そういうデカくて強そうなシルバーバックがだいたい群れのボスやってますね🙂

先日観たインド映画では象(正確にはインドゾウかな)の密猟者と戦うアクションエンタメでしたが、本作はマウンテンゴリラの密猟の実態を描いてます。ノンフィクション原案を脚色して映画化してるから、こちらもエンタメには違いないんだけど、それでも目を背けたくなるような密猟の現場など、かなり厳しく描写されています。といっても、マウンテンゴリラの魅力がびっしりつまった映画でもあるのでなんともいえない気持ちになってしまいますねぇ😖……

マウンテンゴリラっていうのはあのデカいずうたいでありながら非常に温厚な性格で山の中で葉っぱとか木の実とか食べながら群れで仲良く暮らしてるんですよね。シルバーバックがでーんと座ってる周りにメスや子供や赤ちゃんたちがうろちょろしていて、モメ事も滅多に起こらなそうな世界ですよ。非常に優れたコミュニティが形成されているんです。

そこへモリやナタを持った部族がズカズカと踏み込んでいって、動物園用に赤ちゃんを1頭捕まえるのに5頭の大人を平然と殺すことがあったんです。そういう実行犯の部族はだいたい白人に金で雇われていて、貧しい部族も生活のために、食いぶちを守るために執拗にゴリラを殺します。

密猟者からマウンテンゴリラを守ろうと活動していたのがダイアン・フォッシーさんというわけですけど、これをシガニー・ウィーバーが魂を込めて演じていて、けっこうな見応えがありました。どこまでホントなのか、かなり脚色されてると思いますけど、このシガニーさんのスゴさを堪能することができます。

もう、ゴリラを守るために戦おうと思ったら、ほとんど戦争になっちゃうんですよ。動物学者にとっては家族、密猟者にとっては資源ですからね。だからこの映画では動物学者も狂気寸前まで自分を追い込んでいく。そのぐらいやらないといつまで経っても密猟という犯罪は減らないからです。そんなことを、怪演、熱演、狂演で演じていたシガニー・ウィーバーがとにかくお見事でした。
ハンスウ

ハンスウ