ユースケ

震える舌のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

震える舌(1980年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

叫び声を上げながら背中をのけぞらせて痙攣する少女。破傷風の発作を悪魔憑きのように描き、難病映画をホラー映画風味で仕上げた本作は、難病映画を感動ポルノとして楽しむ24時間テレビ好きを恐怖のどん底に叩き落とす一本。
バッハの【無伴奏チェロ組曲】が流れる少女が破傷風菌に感染する様子を描いたタイトルバックによってバッハの【無伴奏チェロ組曲】=【新世紀エヴァンゲリオン】のイメージがぶち壊されてしまいました。

激しい痙攣を繰り返す少女を演じた若命真裕子の怪演は言わずもがな、娘を見守る以外何も出来ず、娘の心配よりも自分の心配をしてしまう両親を演じた渡瀬恒彦と十朱幸代の壊れっぷりや本作に多大な影響を与えた【エクソシスト】にオマージュを捧げた痛々しい拷問としか思えない治療シーンも要チェック。
「この子の前歯、乳歯?それとも永久歯?乳歯だろ?また生えてくるからいいよね?」と母親に確認してから前歯を抜きまくるシーンはトラウマ必至。

日常から非日常へのスムーズにスライドする展開からも、劇的な回復を描かず、非日常から日常にスムーズにスライドする展開からも、リアリティが感じられ素晴らしいと思いました。

とにかく、渡瀬恒彦史上最もほっとさせる自販機パシリからのズッコケは必見です。