クシーくん

ロビン・フッドのクシーくんのレビュー・感想・評価

ロビン・フッド(2010年製作の映画)
3.6
なんだろうなあ。確かにリドリー・スコット監督なだけあって十分に面白い。だけど何か騙されたような気がしてならない。
知らなかった私が悪いのかもしれないが、「シャーウッドの森に住む義賊ロビン・フッドの物語」が観たいのであって、ロビンフッドのオリジンストーリーが観たかった訳ではないのだ。

アクションは凄い。特に終盤の決戦シーンで雨霰と飛び交う弓矢のシーンは圧倒的迫力。冒頭地方領主の城を攻め落とすシーンもノッティンガム襲撃もえげつない火責めが行われてて中世風の野蛮な戦闘が適度なメリハリを与えていた。ただしストーリーは紋切型でいかにも新鮮味に乏しい。有名なロビン・フッドであまり穿った話にすると観客から反感を買うとでも思ったのだろうが、どうせ架空の人物なのだからそこは思い切った展開にしてほしかったものだ。

ロビン・フッドにしては少々とうが立ち過ぎたラッセル・クロウとケイト・ブランシェットのゴツいロビン&マリアンは最初面食らったが慣れるとなかなかサマになっていた。ただロビンが弓を使うシーンは前半に集中していて期待したほど多くはなく、特に後半は剣やメイスで戦うシーンが目立ったほか、下手するとステゴロで殴り合っていたのが少々残念。ロビン・ザ・バーバリアン。後はジョン王を演じたオスカー・アイザックがダメ男感が出てて良い演技。マーク・ストロング演じる御馴染みの悪役は大分行動に無理がある気もするが、作劇上の犠牲だろうか。卑劣漢ぶりはお見事。

私が本作で一番「ロビン・フッドらしさ」を感じたのは、ノッティンガムの代官がお尋ね者ロビンの掲示を貼るのに釘を持ってこいと叫ぶや否や、どこからともなく矢が飛んできて貼り紙に刺さるショットだ。これを望んでたんだ。こういう展開を観るために2時間半近い映画を堪えていたのだが、残念ながら私の需要は余り満たされない作品だった。ただクオリティ的に高水準なのは間違いないし、総じて満足度の高い映画だったとは思う。ちなみに森のシーンは本当にシャーウッドで撮影したらしい。変な所律儀だな。
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