さすらいの用心棒

太陽の王子 ホルスの大冒険のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

3.7
高畑勲初監督作品にして、宮崎駿初の本格アニメ進出作。

単純な冒険活劇ものかと思ったら、ヒルダという女の子の登場から作品の雰囲気がガラリと変わる。ヒロイン登場ってことは、いよいよ『未来少年コナン』や『ラピュタ』のような少年少女の健康的な冒険がはじまるんかと思いきや、なんとヒロインが村人たちの疑心を利用して主人公を陥れる、という斜め上をいく展開に。そこから完全にホルスからヒルダに主人公の座がわたり、良心の呵責に懊悩する可憐なヒロインが物語のハイライトとなる。その苦悩がこの作品に「深み」を与えている。
ジブリ的かどうかわからないが、カットのつなぎ方や、アクションシーン、アイデアを振り絞って平凡なストーリーを平凡にしないような工夫と意地が見られ、たいへん楽しかった。