太陽の王子 ホルスの大冒険の作品情報・感想・評価・動画配信

「太陽の王子 ホルスの大冒険」に投稿された感想・評価

mugcup

mugcupの感想・評価

4.5

よく出来たアニメ
完成まで3年費やしたのに興行的には大失敗だったらしい。

高畑、宮崎が一緒に作り上げた最初の長編映画。
宮崎さんの弔辞を読むとこの映画の制作は相当大変だったらしい。
大変だったけれど得難いものを得るってこういう事なんだろうな。

「パクさん、僕らは精一杯、あの時、生きたんだ。膝を折らなかったパクさんの姿勢は、僕らのものだったんだ。ありがとう、パクさん」
昔の作品だからこその作画の荒さ。ストーリーはわかりやすいですけど、一見の価値はありますよ!
ナウシカやラピュタやら、ジブリの原点を目撃した。声優さんも素晴らしい。。
キャラの覚悟が決まったり、内情の変化がある時に一瞬目がキラっとするの、進撃とか呪術で見て良いなと思ってたけど、この作品で既に始まっていた。
良いアニメもっと知りたい
RY0

RY0の感想・評価

4.2
・2021/03/29

 1968年・東映動画。

 脚本はアイヌ伝承を題材とした戯曲「チキサニの上に太陽」の翻案。2019年には東京国立近代美術館で大きな展示があったのでイメージボードやメモ、制作時の作業デスクなども見た(グズグズしていて最終日に行ったので混雑がひどくあまりじっくり見られなかった)。

 行き過ぎた資本主義(労働や社会生活)に対する疑義、団結して権力に立ち向かう民衆、公と個の関係などが描かれている。しかし少し散漫な印象で、監督の単著にも「英雄神話的な物語に現実的な諸問題を多く絡ませていったことで力強さを大きく削いでしまった」というような記述がある。

 どう考えても想定観客層には難解すぎる内容だし興行的にも失敗するものの、この映画には「意義のある作品を作って後世に残す」「本当のことをしていれば必ず伝わるはずだ」という理想主義的な信念がある。それがインテリの驕りなのかというと知的である以上に純粋で、そういう感じはない。

 監督や演出の発言どおり青臭さや情熱の暴走と捉えることもできるものの、戦後の日本とアニメーションで本当の表現をしたいのだという高い志は存分に伝わってくる。何より絵が描けず30歳そこそこでこの映画を作る高畑勲はやはり天才だと思う。
これは凄い!東映アニメの原点で頂点。狼少年ケン、少年忍者風のフジ丸のキャラや動きと同じ懐かしさ。
美しい絵と動き、健全なようでダークなファンタジー。
これはアナと雪の女王、スターウォーズ、ハリーポッターに確実に影響与えてる。
これの延長が未来少年コナン、ナウシカ、ハイジ、ラピュタになる訳で。
ヒロインが悪というのも驚いた。村人の性格の悪さ、動物キャラの可愛さ、50年以上前のアニメと思えない完成度の高さ。
東野英治郎はやはり東野英治郎の声でそれも良かった。主役の声が平幹二朗、ヒロインが市原悦子の若い頃というのもおったまげた!
 白土三平の『ワタリ』の影響を多大に受けた作品と聞いて視聴。
アニメとしては、緩急の利いた躍動感あふれる演出が素人ながら大変見ていて面白く特に終盤のホルスとヒルダの剣戟のシーンなど、両者の葛藤をも剣捌きに現れているようだった。(作画とかに関しては素人なので割愛。ただ動いている物それこそ動物や風邪でさえ私には生命の香りを感じられて面白かった。前見た、『メトロポリス』が非生物の崩壊を魅力的に描いたのとは対照的だと感じた)
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 実質この物語はヒルダの物語ではなかろうか。独りでいるのは寂しく、ホルスや皆は愛しい、然し誰かといるには悍ましい欲望や宿命或いは憎悪に近づきすぎており親しみ過ぎている。その両面の葛藤は序盤の大カマスを討ち取り村に親しみだしたホルスの屈託の無さと正しく対照的で、あの少年が終生味わうであろう牧歌的な少年活劇、単純な人と悪魔の二項対立の世界観に一石を投じ物語に奥行きを生じさせている。それに、あのどこまでも牧歌的なホルスより、屈折した感情を一人抱えるヒルダの怯え様こそ我々に近い筈だ。実際ホルスはその彼女の愛憎(や視聴者の心情)の襞により今まで有り得なかった類の断絶や個人的な葛藤に悩むのである。
 そして彼はその葛藤を乗り越え再び団結の道を選び、そして悪魔を成敗するのだが、それはヒルダを肯定した新しい形の団結なのである。エゴの抹殺ではなく、それやそれに起因する軋轢を勘定に入れた相手を許す団結なのである。個人的にはそれに主人公が気づく、即ち大人になる為に「悪の権化」の片割れが必要だったのだ。それに、その悪の権化が大人になる為にも純真な太陽が必要なのは言うまでもない。
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 個人的には共同体の可能性を模索している点で『ワタリ』の影響は単にホルスの格好や斧に止まらないと感じているが、その結論はだいぶ違うと思う。『ホルス~』では共同体の可能性をヒルダとホルスの和解で以て肯定的に描いている一方、『ワタリ』では「0の忍者」の遍在で以て否定的に、詰まり共同体に関する根本的な反抗の必要と可能性を説いているからだ。即ち、『ワタリ』の方がペシミスティックであるといえよう。
 尤も、ホルスが悪魔を打倒した縁に愛を置いたようにワタリの逃避も強烈な妥協無き仲間そして自己の生命への強烈な愛着である。両者の共同体への決断と離反が結局愛憎に基づいている以上それも又表面的な問題に過ぎないだろう。共同体の問題は即ち個人の問題の集成なのである、個人に閉じこもっても生きていけないが、社会に心を支配されては生きていてもしょうがない。実際『ホルス』が村に着いた序盤の説教臭い共同体的団結の理論は、終盤に於いて訪れこそすれそこに入れない人間の葛藤が言外や描写外に見られる為に、よりパーソナルでスリリングだ。

これは余談だけど凄く疲れるアニメだと思う。充実感も感じるけど、ここまで一人の心情を追う体験は珍しい。
Taul

Taulの感想・評価

4.0
『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)演出は高畑勲、設計/原画に宮崎駿。二人の天才の初共同作。名作というより若き作家の意欲作か。民衆の危うさ、出目の苦悩、労働と協力、想いは伝わるが子供向けアニメの中で消化しきれない歪さも。ただ物語の深さや自然の表現にジブリの原点が窺える。

2017年7月鑑賞
ジブリの原点となる作品とのことで視聴
50年以上前の作品だが、未だに色あせていない
物語はシンプルで先が読めてしまう部分もあるが、間延びがなくスピーディーに物語が進むので飽きることなく見ることが出来た
日本のアニメーション映画の中でも大切な一作だろう
papanda

papandaの感想・評価

4.0
ヒルダの苦渋の表情、それに尽きる。魔王に家族も村も滅ぼされ一人生き残った罪悪感と苦しみ、それでも生きていたいという願い、その心の戦いを魔王グリュンワルドに言葉巧みに操られ、気持ちとは裏腹に善良な人々を破滅へと向かわせる苦しみ。朝ドラ「なつぞら」でも描かれていたが、ヒルダの表情がこの映画の芯だと思う。
みんなで力を合わせて世の中を良くしていく「あるべき姿」に対して、俺様ファーストのはびこる「今ある姿」。今ある姿を「しょうがない」で済ませず、お互いの思いを説明して説得して心を開いて接点を見つけて、少しずつあるべき姿に近づけていくしかないのかな。やっぱり高畑勲監督の作品だな。
いやもう、素晴らしかったです。

あの時代にこれだけの映像のクオリティー、驚きです。

市原悦子さんはこの当時から声のお仕事されてるんですね。
時々日本昔話感がでるけど。

勧善懲悪にハッピーエンド、話は単純だけれど面白かったです。
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