ビンさん

ドラゴン怒りの鉄拳のビンさんのレビュー・感想・評価

ドラゴン怒りの鉄拳(1972年製作の映画)
5.0
なんばパークスシネマにて鑑賞。

ブルース・リー没後50年 WBLC2023 ワールド・ブルース・リー・クラシック2023の一環での上映。

しかも、20日はまさにブルース・リーの命日にあたり、上映前には映画評論家でWBLC2023のプロデューサーでもある江戸木純氏、そしてブルース・リー研究の大家ちゃうシンイチー氏のトークショー付きという特別上映だった。

僕自身のブルース・リー初体験は『燃えよドラゴン』初公開の時、場所は上本町の上六映画劇場だった。
押し合いへし合い超満員の場内は、座る席など無くて、一緒に観に行った父と通路に新聞紙を敷いて、そこに体育座りして観たが、スクリーンで繰り広げられるブルース・リーの華麗なアクションに魅せられ、体育座りの苦痛なんて微塵も感じなかった。

続いて、『ドラゴン危機一発』、『ドラゴン怒りの鉄拳』はロードショーではなく、ムーブオーバーで東大阪は布施の昭栄シネマの2本立てを観た。

『ドラゴンへの道』は再び上六映画劇場で。
『死亡遊戯』はこれまた昭栄シネマで。
いずれもロードショーだった。

すべて父親と観に行ったのだが、父も僕も『燃えドラ』に魅了されて以来ブルース・リーのファンだったし、それは他のクラスメートよりは映画を観ていたガキンチョではあったが、僕以外のクラスメートもブルース・リーの話題は事欠かなかった。それは後でも書くが男の子、女の子関係なく。
それくらい、ブルース・リー人気は一般的だったのだ。それは今の大谷選手人気の比じゃなかったと言い切ってしまおう(あ、僕はプロ野球は全然疎いので)。

なにしろ当時、我が家は母が駄菓子屋を営んでいて、ブルース・リー人気にあやかったどこぞの名もなきメーカーが、プラスチック製(中身は空洞で成形された)のヌンチャク(そこにヘッタクソなブルース・リーのイラスト入り)が飛ぶように売れたのも、その人気のほどがわかるというものだ。

だが、そんな僕自身のブルース・リーへの興味は『死亡遊戯』以降急速に低下する。
既にブルース・リーは故人であり、今後は当然新作は公開されないことがわかったから。

例えば母が好きだったジェームズ・ディーンも、わずか出演作3作だけでこの世を去ったわけだが、それでも母はずっとジェームズ・ディーン(と佐田啓二)のファンであり続けたのは凄いことだったと思う。
僕なんてブルース・リーはもうこの世に存在しないのだ、とわかった時点での気持ちの切り替え様は、今から思えば自分でも淡白だったな思う。

だから、あまりいい評判を聞かなかった『死亡の塔』に到っては、観た者は口を揃えて「酷い」の一言だったこともあり、一気に熱が冷めてしまったのだ。
(後年、TVの洋画劇場で観たが、たしかに酷いシロモノであった)

その後大人になって、知り合いになった方にブルース・リーのファンの方がおられたり、映画秘宝のMOOKで一冊まるごとブルース・リーの特集が刊行されたりと、いまさらながらだが根強い人気は連綿と培われていた事に驚くのだった。

そして、3年前の7月に、生誕80周年を記念して、場所も今回と同じくなんばパークスシネマを中心に、ブルース・リー出演作が4Kリマスターでリバイバル上映され、それこそ40数年ぶりに劇場で、ブルース・リー出演作を堪能する事ができた。

※その時の『怒りの鉄拳』の感想。
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=3121930421217999&id=100002032165293

↑ロクなこと書いてないが・・・。

それから3年。
再びスクリーンでブルース・リーの勇姿を拝める環境にいま、ある。

しかも、昨夜はトークショー有りのイベント上映だった。
(ということで、話は最初に戻る)

『怒りの鉄拳』公開当時は、ロードショー上映は観に行けなかった。
が、当時のクラスメートのMちゃん(女子)が、早速映画を観てきて、かなり興奮気味に話をしていたのを覚えている。

しかも、本編冒頭のブルース・リー演じる主人公が、亡き師匠の墓に這いつくばって土をかき分けるあのシーンを再現するわけだ。教室で。しかも女子が。 

そんなのを聞かされた日にゃ、そりゃ観に行きてぇ、ってなるわな。

TVスポットも何度も流れていて、ブルース・リーが外人(ロシア人用心棒ペトロフのこと。いや、ブルース・リーだって外人だろうが)の前髪引っ掴んでとどめを刺すシーンなんて、よく弟に同じことをして泣かしたものだった。
それもこれも映画館へ観に行けなかった反動だったのだ(と思う)。

で、ようやく先述のように『危機一発』と2本立てという、待たされた甲斐があったという上映にありつけたのだった。

ってことを、今回のトークショーを拝聴し、本編を大スクリーンで観て、あれこれ思い出したのである。
ビンさん

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