りっく

推手のりっくのレビュー・感想・評価

推手(1991年製作の映画)
3.6
典型的な中国人の父親顔。
ただし、彼は家族の中でも出来損ないとして見られ、劣等感を背負っている。
彼が唯一誇れるのは、太極拳のみ。
共産主義に浸りっぱなしだった人生。
それが資本主義国アメリカで、ズタズタに踏みにじられる。
それでも、頑なに「不動」の姿勢を崩さない厨房のシーンが白眉。
決して周囲に迷惑はかけまいが、それでもギリギリのところで残っている自尊心が痛々しい。
安易に「世代間交流」や「異文化理解」に逃げない所に好感が持てる。
それでいて、きちんと「中国の父」にも敬意を払った演出になっている点もよい。
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