へちょりーの

アキラ AKIRAのへちょりーののレビュー・感想・評価

アキラ AKIRA(1988年製作の映画)
3.8
原作未読で観賞。
バブル末期に作られた作品ということで、非常にお金がかけられている細やかな作りになっている。
むしろこの時期に映画化されていなかったら、きっと映画化されてもしょぼいものになっていただろう。
その際たる部分が「プレスコ」(声を先に収録、その後キャラの口を作る。)だろう。

この映画がたくさんの映画監督やその後の作品に多大な影響を与えた理由は「リアリティとフィクション」「レトロとフューチャー」の融合が非常にうまい部分だと思う。

昭和のような雰囲気を持たせつつ、どこか”こんな未来が将来くるんじゃないだろうか?”と思わせるフィクション感。
(実際に東京オリンピックは2020年に決まり、やってきた。ここが昨今「予言書」と言われる部分である。)
フィクションでありながら、現実味を帯びたストーリーが非常に秀逸だった。

「AKIRA」前後でアニメーションが大きく変わっていった。
ターニングポイントとなる作品といえるだろう。
(エヴァンゲリヲンや攻殻機動隊がその例だと思う。)

原作と映画でストーリーは違うものの、原作者の大友克洋氏が監督・脚本をしていることで、映画とマンガで整合性が生まれ、2時間に収まるようわかりやすい対決構造にも仕上がっている。

また劇伴も非常に前衛的なのだ。
東南アジアの民族音楽であるガムランやケチャのサウンドを用い、独自性ではズバ抜けている。

そして何よりもこの映画の1番の魅力は主人公:金田がカッコイイのである!
バイク・セリフ・そして無敵。笑
男の子が憧れる、男キャラの代表格だろう。

深いが故に何度でも見てしまう、スルメのような作品だ。


「“さん”をつけろよデコ助野郎!!」