しゆ

エターナル・サンシャインのしゆのレビュー・感想・評価

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
3.9
ラブロマンスだけど記憶除去手術をテーマに、最初に馴れ初めと手術直前だけを映して新しい記憶から遡っていくという面白い構成。と同時に難しめなのでもう一度観たくなった。ストーリー、構成ともに高度に練られててアカデミー脚本賞受賞も頷ける。映画ってこういう映し方もあるんだって新しい発見があった。
中盤くらいまでどういう仕組みで話が展開されてるのかよく分からなくて巻き戻したり解説のサイトを見たりしてようやく大体の流れは掴めた(気がする)。
ジムキャリーのナヨナヨした演技が自然で、彼といえばコメディアンのイメージを覆されたといってもいいほどの演技力の高さだった。こんなにイケメンだったっけ?とも思った(笑)
ひょんなことから仲違いしたカップルが記憶を消すことにし、新しい記憶から徐々に遡って消していく。当然最近の記憶は最後に出会った日だから関係は険悪で順調に手術を継続していくんだけど、いずれ彼女との楽しい日々も思い出して中止を懇願するようになる(同時に辛い日々も必要ったと気づく)。でも眠りについてるからそれはできなくて、次第に記憶から消されないために色んな思い出の場所に文字通り記憶の世界を彷徨う。部屋の中にいるのに雨の降っていた頃の記憶を掴むと関係なく雨が降るのが、誰もが一度は経験するであろう記憶とか夢のあのあやふやに切り替わる感覚を見事に表現してて凄い。あまり使われなかったけど、手術を受けている間は現実世界の声が脳内の記憶の世界にも反響するのも面白い設定。
ラストシーンも上辺だけの関係じゃなくて言いたいことを吐き出し合ってまた別れるかもしれないけどそれを少しずつ受け入れて本当の意味で愛し合っていこうっていうのが希望を持てる終わり方で良い。
あとこれだけは言いたい。内容に反してジャケットがあまりにもダサすぎるのでどうにかしてほしい。そんなにほわほわした作品じゃないでしょ。本当に鑑賞したうえで作ってるのか制作者のセンスを疑うレベル。
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