荒澤龍

エターナル・サンシャインの荒澤龍のネタバレレビュー・内容・結末

エターナル・サンシャイン(2004年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「記憶を消せるようになった世界で見つける幸せ」

芸人ふかわりょうがラジオで一番好きな映画と答えていた作品として知り鑑賞。

私は運命論者ではないが、現実でも奇跡的なことがたまに起こって、それが実は過去の消えてしまった記憶の残骸に本能的に導かれていたと考えるとなんて素敵なんだろうと思った。そんな視点を与えてくれる映画。
終わり方がとても好きな映画だった。ロマンス溢れる映画であるが、お互いの清濁を併せ呑んで、いつか嫌いになるとしてもそれすらも愛してやろうという観点はとても現実的で、結局100点満点の人生なんてあり得ないのだから、やりたいことを全力でやることが今できる最善なんだという示唆があった。


思慮深いジョエルと天真爛漫なクレメンタインは運命的な出会いでお互いに惹かれあっていく。しかし時間の経過はその違いをプラスからマイナスに変えていく。思慮深いと思っていたジョエルは退屈な人間という評となり、天真爛漫なクレメンタインの性格は衝動的で破滅的と感じられ、やがて破局を迎えお互い辛い記憶を消し去ってしまう。

序盤は綺麗なラブストーリーである。
音楽の挿入タイミングが最高。
氷上のデートシーンが美しい。氷が割れないか慎重に歩くジョエルと、走り出すクレメンタインの性格がよく現れていて、彼女に引っ張られて氷上を渡るのが2人の関係を暗示している。

突然不吉な雰囲気への場面転換し、何が起こったのかどうなっていくのか引き込まれた。

クレメンタインのような衝動的で破滅的な人間は過去にトラウマを抱えていて、彼女も例に漏れない。クレメンタインは子供頃の不細工な人形の名前で本名ではなかった。
荒澤龍

荒澤龍