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タレンタイム〜優しい歌のatomのレビュー・感想・評価

タレンタイム〜優しい歌(2009年製作の映画)
5.0
これまで観た中で一番好きな作品は?との問いに、答えられる映画に、やっと巡り会えた気がする。

高校生くらいの男の子や女の子たちのいる家族の、活気ある様子が楽しかった。かつて我が家にも飛び交っていた怒声なども思い出す😅

男の子や女の子たちの、髪や肌の脂、肩の骨の柔らかい感じ、まだ少し日向くささも残っている身体の匂い、などなどを思い出す。話す言葉や宗教が違えど、いつの時代、どこで育っても、彼らはなべて愛おしい。

「彼女がおばあさんになるまで一緒にいたい。彼女を守りたい。彼女が幸せなら僕も幸せ。彼女が幸せでないなら僕も幸せじゃない。たしかに知り合ったばかりだけど、愛は月よりも古いのでしょう?」

こんなシンプルで気高い気持ちを、すっかり忘れてるけど懐かしい気がするのは、遠い昔に私も持ったことがあったのかしら。いつの間に枯らしてしまったのかな。悲しいな。大人の世界は複雑なんだよ、なんて、ホントはだいたい言い訳だよね。

どちらも成績優秀で、多分ムルーに恋していた同士でもある二人の、ギター弾き語りと二胡のデュオに私も泣かされました。彼らの親御さんそれぞれの思いも想像できて、余計ぐっときます。思いっきり演奏しておいでと言って、一人でも自信を持ってお前の人生を生きて行けと願う、死の間際にいるお母さん。差別されがちなチャイニーズなのだから実力を身につけて誇りを持って生きて行けと願うお父さん。どちらの切実さもよくわかります。

♪偏見に縛られた世界は
 僕の永遠の敵…

どのシーンもどのシーンも、歌の歌詞も、ぜんぶ面白くて、切なくて、興味深かった。
全てのシーンに監督さんの慈愛というようなものを感じました。

この映画の学校の先生たちが、生徒たちの英語やマレーシア語や中国語、そして手話を尊重していることにも感動しました。


これまでどういうわけか、タイミング合わずに見逃してきたのを、今朝、Amazon primeで発見できて良かったけど、もしかしたら、観ることなく一生を終えることになったかも知れず危なかったです。
機会到来の折には映画館で観たいですが、とりあえず今からもういっぺん観ます。家のオッチャンにも一緒に観るよう強要したところです。
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