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洲崎パラダイス 赤信号のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)
3.9
橋を渡れば赤線、洲崎パラダイス。橋の手前の飲み屋「千草」を舞台に、なんとか橋を渡らずにこちらの世界に留まろうとする女と男の群像劇。誘惑に負けながらふらふら。堅気に生きるのは楽じゃない。何度も振り戻される。「千草」は人生の交差点。

酸いも甘いも見てきた女将の懐の深さが、港のよう。ダメな男と女、心休めて、さてどちらに向かうのか、人生の交差点を。

主役は元色街の女ツタエ(新珠三千代)なんだけれど、「千草」の女将オトク(轟夕起子)のブレない存在感がすごくよかった。落ち着きはらっていながら、女の可愛さもある。タカラジェンヌだったんですね。割烹着が似合う素敵なお母さん。

赤信号がタイトルについている理由がわかりました。

<もはや戦後ではない>といわれた同じ1956年を表した小栗康平監督の「泥の河」の川沿いのうどん屋をちょっと思い出しました。

神田の電気街の発展、ダンプカーが行き交い、道を普請、勝鬨から洲崎(東陽町)までのなんにもない風景、ラジオが娯楽等々、昭和31年の東京も楽しめました。しかも、知人のお父さんの会社を発見。これには驚きました。

川島雄三監督よいですね。テンポよく、人々がセリフが生き生きしている。これで三作目なのですが、ちょっと追ってみようかな。
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