ちろる

バヤヤのちろるのレビュー・感想・評価

バヤヤ(1950年製作の映画)
4.2
単なるパペットアニメと侮るなかれ、東欧のディズニーとされたチェコのトルンカの素晴らしき傑作に酔いしれます。

ボロ屋で病を患った父と共に暮らす青年バヤヤのお話。
どことなく始まりは暗く、寂しげで日本昔話のような風合いもあり、無性に懐かしさもあり、神話的な神々しさがあります。

自らの母親だと名乗る白馬の導きによって、ドラゴンに狙われる3人の姫を救うのだが、貧しい吟遊詩人の格好で愛する姫に求婚しても姫は青年が憧れの騎士だとは知らず振り向いてもらえない。
2人のすれ違いの恋を描いたどちらかと言うと大人向けのパペットラブストーリー。

全編にわたりバグパイプなども交えた音楽や格調高いオペラ調の音楽で物語が綴られ、神話的御伽噺をより重厚感のあるにしていてくれている。

憂いを感じるような美しい3人の姫のデザインも去ることながら、何もかもを知っているような道化の存在がとても効いていてユニークな仕上がり。
アングルや陰影のテクニックを巧みに使い、同じ人形に息吹を与えてくれるトルンカならではのマジックがこの作品は特に堪能できます。
ちろる

ちろる