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欲望のあいまいな対象のMovingMoviesのレビュー・感想・評価

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)
4.0
ブニュエルの作品は観客には奇妙な事なのに、登場人物には「そういうことになっている」ということがある。現役監督ヨルゴス・ランティモス『ロブスター』『聖なる鹿殺し』も同じ香りがする。ブニュエル『皆殺しの天使』では、理由はわからないが人々の行動が制限される。本作でも、観客にはなんでと思うことが登場人物には違和感なく進んでいく。
タイトルの通り、欲望の対象がとてもあいまいになっているしかけなのだ。

金持ちの老人と若く美しい女性の物語は、『哀しみのトリスターナ』『ビリディアナ』もそうだし、その二作は老紳士役を本作と同じフェルナンド・レイが演じている。老紳士の「欲望」としては本作がストレートでわかりやすいといえるかもしれない。

「欲望」「じらすこと」「嘘」「身も蓋もなさ=つまり真実」をぐるぐるかき混ぜるような作品でした。