刑務所が舞台になった映画というのは、なぜに斯くの如く、魂を震わせる作品が多いのでしょうか。
人間の尊厳を問いかける。
死刑という極刑によって、いかに人間が人間らしさを保つのが難しいか。
観ているこちら側にも、強烈に問いかけてくる映画です。
私の人生の指針となっている映画の一つです。
どんなに非道なことをした人間でも、人間として尊厳を持ち続ける権利はあるのかどうか。本当に難しくつらい問いであります。
まず何より主役であるショーン ペンの演技が素晴らしい。
それまでは、どちらかと言うと私生活でのスキャンダラスな面が目立つ、お騒がせ若手俳優のような位置づけでしたが、この作品を観て印象が一変しました。
周囲に気持ちの弱さをさとられたくないのか、強がってみせている。
次第に死期が近づくにつれて不安定になっていくその表情が本当にリアリティがあります。
そしてS.サランドン演じるシスター ヘレン。
クライマックスでもある、マシューが執行へ向かう足取りもおぼつかないなか、寄り添いながら必死に神への祈りを捧げるシーンは、思い出すだけで涙が止まりません。
こういう時に湧き出す人間の感情というのはなんなのか。これほどの思いにさせるこの作品の高い完成度、そして携わった方々にに本当に感謝します。
人間の行いで最も難しく、かつ尊いこと、それは『赦す』ことであろうと私は思います。そのことを強く教えてくれ、また考えさせられる作品です。