Matilda

ツレがうつになりまして。のMatildaのレビュー・感想・評価

ツレがうつになりまして。(2011年製作の映画)
3.8
心温まるやさしいラブストーリーでした。

鬱、というのは身近にあるのにも関わらず、人々から避けられ、まるで鬱病にかかった人が悪いとでも言うようなマイナスイメージの強い病気です。病気なんです。風邪と同じで、ちゃんと薬を飲んだり、休んだり、治療をしないと治らないもの。
私は身近に鬱病ではないのですが同じ気分障害を持つ友人がいて、それを知ったときに精神病についてたくさん調べ物をしました。でも、どんな本を読んでもネットを読んでも、明確な解決法は出てこなかったんです。人それぞれの、心の問題だから。れっきとした病気なのに、薬や治療法はあるものの、効くかどうかはその人次第で、いつ治るのかも分からない。精神病って本当に辛いものなのだと思います。
私は精神的な弱さに対して厳しい家庭で育ちました。落ち込んだり、泣いたりするのはみっともない、と。だからそういう考えの人も世の中にはいると思います。でも、そんな人にこそ、この映画を観てほしいと思います。

鬱病と診断されていなくても、鬱病に近い状態の人は世の中にはたくさんいるのでしょう。(私の想像ですが…)実際、私の周りにもよくそんな精神状態で毎日生活できるな、と思うような無理し過ぎの頑張り屋の友人が何人かいますし、きっと私達が思うより、鬱などの精神病は近くに潜んでいて、誰でもなる可能性があるものなのだと思います。

鬱は真面目な人がなりやすい。そういった人たちは自分では助けを求めなかったりします。だからこそ、今作でいう「ツレ、どうした?」が必要なのだと思います。2人はまったく違う仕事をしていて、生活リズムも違いました。性格も正反対。でもお互いを思い合い、よく観察していた。毎日を忙しさに殺されることなく、大切にのんびり生きていた。それが、2人の強い絆を生んだのだと思います。

宮崎あおいさん、堺雅人さんのペアは安定の演技でした。篤姫から大好きな2人。他にも大杉蓮さん、余貴美子さんなど演技派が揃い、完璧なキャスティングでした。この頃はまだあまり目立っていなかったであろう吉田羊さんも出ていてびっくりでした。今ではもう引っ張りだこの人気女優ですね。

6年も前にこの映画は公開されていて、でも今でも鬱や精神病に対する世間の理解は完全であるとは言えません。難しい問題だなと思います。鬱病だからといって特別扱いする必要はありませんが、理解をした上で、普通に接することが大切だと思います。私もまだまだですが…引き続き調べたりして理解を深めていきたいと思いました。

※余計なようですがひとつだけ。できないさんの最後のオチは正直いらなかったかな…と。あそこでなんだか冷めてしまいました。
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