Matilda

17歳の瞳に映る世界のMatildaのレビュー・感想・評価

17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)
4.7
妊娠した17歳の女の子が親の同意なしで中絶できる州へ向かう。
このあらすじだけであまりにも重くて、ここまで観ずに来てしまったけど、やっと観た。
観て本当によかったけどもう2度と観たくない。それくらい素晴らしくて、苦しくなる作品だった。

これは映画だけど、あまりにも現実で、女性は観ていてしんどいものがあるんじゃないかと思う。私も辛かった。
生理が遅れて、妊娠したかも?と思う瞬間や、妊娠検査薬で調べるときの怖さ。あの怖さは、女性にしかわからない。

そして17歳なら尚更。私が彼女と同じ年齢だったら、彼女と同じことをしたと思う。
親にも話せないし、お金もない。じゃあどうする?
薬を飲んだり、お腹を叩いたり、危険な行為をして流産を望むしかない。
彼女の行為が、私には分かりすぎた。

そして日常的に行われる性加害の数々。
女性たちに声をかけ、誘い、あわよくばというのが見え見えな男たち。
そういうことが彼女たちには日常で、なんならそれらをうまくかわし、時には利用することまで、彼女たちは17歳でできるようになっている。
そのこと自体がとても悲しい。こんな世界、狂っている。

原題のNever Rarely Sometimes Alwaysの意味がわかるとき、涙が止まらなかった。
可視化されないAlwaysを私たちはどうやって減らしていけばいい?

妊娠の週数が違っていたのは、少なめに教えてしばらく引き止めることで、中絶できない週数まで妊娠を継続させる意図があったんだと思う。

男女で見える世界は違うし、この作品を観てもきっと男女で感じるものは違うんだと思う。
だからやるせない気持ちにもなる。
多くを語らない作品だから伝わらない部分もあるかもしれないけど、男性にこそ観てほしい。そしてこれはフィクションではないことを心に刻んでおいてほしい。
Matilda

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