なんとも直球勝負な作品。
若さを剥奪された女性が、
ようやくちらついた希望に飛びつき、
見事に裏切られていく。
絶望した結果、卑劣な暴力へと走る。
この一連の展開の中で主演の女優さんが何度喋っただろう?
主人公に限らずとにかくセリフを排除し、
冒頭のマッチ工場の無機質さと相まって、
温かさや優しさとは無縁の世界が描かれている。
そりゃ子どもは生まれないし、人は死ぬ。
その結果に議論の余地を感じられない。
カウリスマキが撮ると暖色が消える。
青も赤もとにかく冷たく画面に収まり、
しかしスタイリッシュで絵画的でもある。
主人公の目から見ればこれこそきっとリアルなんだろうな。
1時間強できっちり見せてくるの素敵。