すーど

マッチ工場の少女のすーどのネタバレレビュー・内容・結末

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ディスコで踊ったあと一晩過ごした男からの電話連絡を心待ちにしているが待てど暮らせど電話は来ない。

観客の我々からすると、本気でその男に気を持っているのはイリスだけであり、男の方はワンナイトってわかるんだけど、それでも男からの連絡を待ち続けるイリスがいじらしい。モテない人が少し親切にされたら身も心もその人に持っていかれてしまうのは洋の東西、今も昔も変わらないみたい。

そしてその一回のセックスで身ごもり、その男に妊娠の事実を手紙で告げるも「始末してくれ」の一言(小切手入り)。去年、『射精責任』っていう本が日本でも発売されましたよね…。

そりゃネズミみたいにイチコロにしたくなるよなって思うけど、やはりそこは落ち着いた描写で合計4人も殺める。口に入れた瞬間に・・・と映画を見ている人は皆さんがすべて同じような絵を想像すると思うんだけど、そのシーンは決して映されない。母と義父のシーンも、イリスはまじまじとその「結果」を見つめているが、観客の我々は決して見られない。でも想像に難くない。

冒頭、まさにマッチの製造過程がそこそこの尺を使って流れる。機械って電気とか物理的な反応をコントロールして人間がやりたいことを自動化してて、エンジニアリングってすげえなあって思わされるし、イリスの毎日も、機械のようにほぼ誤差がない、変化のない毎日なんだろうなと想像させる。そこにちょっとした変化が生まれ、そこにすがるような気持ちになったのかもしれない。

2人目の犠牲者はあまりにも気の毒すぎますね…。
すーど

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