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甘い生活のarchのレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
2.9
今作、1回見るだけで分かれと言う方が難しいだろう。あまりに断片的かつ抽象的なシーンの数珠繋ぎで個人的に苦しいものがあった。
しかし、ふとすると美しく鮮烈なワンカットに対面し、エモーショナルな気分にさせられる。非常に厄介な作品だ。
主人公は二枚目ジャーなリスト。彼が酒池肉林、色に狂ったぎらついた上流階級の世界で荒廃的にかつ破滅的な人生をおくる様を170分近く見せられる。
それらは人生を泡のように刹那的で浮ついたものとして描き、モラルや純真さ等の大事とされるものを一蹴している。
これはこれまで描いてきた"どうしようもない人間の悲喜劇"の極地であり、そこにはモラルは介在するはずがないということなのだろう。
特に最後の30分、1周回ってしまった主人公の凶行は不愉快であるが、かなりの迫力があった。

最初にも言ったが一度で分かれというのが無理な話だ。かと言って何度も見れるような映画ではない。またいつか見たとき感じ取れるものがあればいいのだが。
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