ゴン吉

冬の華のゴン吉のレビュー・感想・評価

冬の華(1978年製作の映画)
4.0
不条理な任侠の世界に生きる男を描いたヒューマンドラマ。
高倉健が主演、池上季実子がヒロインを演じ、田中邦衛、北大路欣也、夏八木勲、小林亜星、小林稔侍、藤田進、池部良、倍賞美津子らが共演。 

横浜を根拠地にする東竜会の加納秀次(高倉健)は、浜辺で無邪気に風車と戯れている3歳の娘の前で、裏切り者の兄弟分(池部良)を刺し殺す。それから15年が経ち、加納は刑期を終えて出所する。親分(藤田進)に挨拶に行くと、出所祝いとしてシャガールの絵を貰う。そんな折、関西連合が関東も支配下に置こうと、東竜会を煽ってくる…

「そうするよりほか しょうがねえと思ったんだ 何とか 見逃しちゃくれねえか おめえとは 長げえ付き合いじゃないか ガキがいるんだあ」で始まり、「そうするよりほか しょうがねえと思ったんだ 何とか 見逃しちゃくんねえか おめえとは 長げえ付き合いじゃないか ガキがいるんだあ 何とかなんねえか?」で終わる無情で切ない任侠の世界。
浜辺で風車を手にして無邪気に遊んでいた3歳の娘が、今はバイオリンを抱えて横浜のクリスチャン女子校に通う純真な女子高生(池上季実子)に成長していた。
獄中から彼女を陰で見守って来た高倉健が、出所してそんな彼女の姿を見て堅気になろうと決心するが、関西と関東のヤクザの抗争に巻き込まれていく。
義理人情と裏切りが交差する任侠の世界。
理不尽な任侠の世界を物悲しいBGMで哀愁を奏でる。
果たして加納の運命は如何に。
高倉健が渋い主人公を演じ、田中邦衛、北大路欣也、夏八木勲らが脇を固め、池上季実子が華を添える。
雪の降る寒さの中で健気に華を咲かせる福寿草がすべてを物語っている。 

2024.1 BS12で鑑賞   
第2回 日本アカデミー賞で助演男優賞(夏八木勲)、技術賞(井川徳道)を受賞(1979年)
ゴン吉

ゴン吉