おしゃれな60'sのQT映画を予想させるのはタイトルロールだけ。のっけから森光子が、純和風セットの中で見たくもないネグリジェ姿を披露し始めた(その後も、ロケ場面はわずかしか登場しない作品)。
軽いコメディタッチの演出が続くものの、脚本的には「人並み以上の容姿を持つ女が、なぜ自らを商品にしなければならないのか」を描き続ける。サブキャラには名の通った俳優が揃っているが、役柄は一様に利己的かつ打算的で、ヒロインを追い込んでいく。終始ブレないテーマ追及のしつこさが本作の個性で、ホームドラマや青春映画の「予定調和的な大団円」は望むべくもない。
最後に「第一部 終」とあったので、監督は第二部を撮る気だったのか。真理明美の固い演技は役柄に合っていたものの、本作には成功の華やかな側面がほとんど盛り込まれていない。続編が作れるほどのヒットに結びつかないのは、明らかなのだが。