チッコーネ

偽りの隣人 ある諜報員の告白のチッコーネのレビュー・感想・評価

2.5
民主化プロセスを辿る時代の韓国を描いた映画のひとつ。
前半はあまり面白くないコメディ演出が頻出、感動強要演出のラストも蛇足。
『レッド・ファミリー』では北朝鮮のスパイを演じたチョン・ウが、本作では南朝鮮軍事政権のスパイを出ずっぱりで熱演。
彼の演じるキャラクターが「家族にも職務をひた隠している」、「家族が民主化運動で捕まると、特赦を乞う」というデティールが薄ら寒い。
金大中がモデルかと想像されるキャラクターを演じたのは、オ・ダルス。
セクハラ告発→自粛後の復帰作、高潔な理想に燃える役柄を演じ、イメージ回復を図っている。
彼のタイプキャストとは大きく異なるが、演出に応える演技力で違和を感じさせない。

本作のような映画は定期的に製作されているし、『ソウルの春』の大ヒットも記憶に新しいというのに、驚天動地の戒厳令が発令される韓国……。
先鋭民主主義の運営は理想通りに運ばない、というモデルケースをまざまざと見せつけられるようだが、やがて史実となる出来事をリアルタイムで確認できるのは、やはりスリリング。