画面加工に迫力ありだが、基本的に1台のカメラで撮影されているほか、役者陣はほとんど10代から20代前半の若者と、チリの生々しいインディ精神を感じる一本だ。
原発パニック映画でバッドエンド。
また作中にはシラけた若者世代、マッチョな南米社会で受け継がれてきた男性の性暴力、そしてきっかけひとつで野蛮な本性を表すサンティアゴの人々の姿が描かれる。
そんな救いのないディストピアの背景には、民主化から十数年後の混沌としたチリで活性化された学生運動(本作では再三、『集会』と表現されている)がある。
また政治/民度への不信、そして「それらをすべて、吹き飛ばしたい」という切迫した破壊衝動が込められているのではないか。
そう思いを馳せてみると、深みはいや増してくる。