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トガニ 幼き瞳の告発のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)
5.0
恩師からの紹介で、霧の街として有名な郊外の街ムジンにある聴覚障害者学校・慈愛学園で、美術教師の職を得たカン・イノ(コン・ユ)は、ソウルで暮らす母に愛娘・ソリを託し、1人新天地で働くことを決める。
だが着任早々、イノは学園に漂う不穏な空気を感じ取る。一見人当たりがよく温和そうに見える校長だが、その目は決して笑っていない。
そんな校長と瓜二つの双子の弟・行政室長に至っては、教職に就くための代償として平然と不正な金を要求してくる始末。
そして何より生徒たちのおびえたような暗い表情に、違和感をぬぐえない。
そんなある日、イノは職員室で同僚のパク教師が男子生徒・ミンス(ペク・スンファン)を袋叩きにしている現場に出くわす。パクは、寮を黙って抜け出した罰を与えているという。
そして女生徒・ユリ(チョン・インソ)に導かれるようにたどり着いたある部屋の前。そこでは女寮長のユン・ジャエが、女生徒・ヨンドゥ(キム・ヒョンス)を、回る洗濯槽の水の中に顔ごと押し込んでいた。
躾をしているとうそぶく彼女に、激昂するイノ。
ぐったりしているヨンドゥをすぐさま入院させ、人権センターの幹事、ソ・ユジン(チョン・ユミ)に連絡を取る。
ヨンドゥによると自分を含めた複数の生徒が、校長をはじめとする数人の教師たちから日常的に性的虐待を受けているという。
しかも地元の名士である校長は、警察さえも買収済み。警察はこの事実を知りながら、見過ごしているのだった。怒りに震える二人は、マスコミの力を利用して真実を暴露することを決意。
TVカメラの前で、自らの体験を語る子供たちの痛々しい手話はイノの心をえぐる。
子供たちの衝撃的な告白が放映されたことで、警察もようやく重い腰をあげ、校長たちは逮捕。
戦いの場は法廷へと移ってゆくが、イノは学園から解雇を言い渡されてしまう……。
韓国の聴覚障害者学校で実際に起きた性的虐待事件の真相を綴ったサスペンス。
児童が電車に轢死する出来事や児童を先生が虐待しているのを見たり、児童から校長に性的虐待を受けたことを聞いたり、徐々に学校の異常さに気づいた主人公が児童の証言を集めて校長を追い詰めるまでを緻密に描いていて、傑作サスペンス映画に仕上がっています。
この映画がきっかけで校長先生が起訴されたのが、この映画の説得力を証明しています。
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