Masato

トガニ 幼き瞳の告発のMasatoのレビュー・感想・評価

トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)
5.0
衝撃すぎて動けなかった

鬱映画特集 29弾
ランクA+

2000年から2005年にかけて障碍者学校で職員による児童虐待・性的虐待が行われた事件。
それを一人の美術教師と人権運動家が戦い抜いた実話を描いた衝撃のドラマ。

「トガニ」とは坩堝(るつぼ)のことで、耐熱式の容器を社会的立場の弱い人たちが権力者によって出口がないことの隠喩。

日本やアメリカではほぼ不可能な程にまで描いた性描写はかなりのもの。子どもを使った性描写はR18は絶対に避けられなかった。でも、そこまでして伝えるものがこの映画には十二分にあった。

これが実話だと思いたくないほどに、事件に関わるものたちほとんどがグルになって隠蔽しようとする。

序盤から少年に暴行する教師とか、ある機械に顔面を押し付けるババアとかとにかく怒り心頭。それが映画が進むごとにさらにムカついてくるのがすごい。演出の仕方がとてもうまかった。

主人公が裁判を起こす中で、必死に隠そうとする学校側がとても憎い。それに絶対に屈しない主人公がとても感動する。
人として、娘の親として、犯されて泣いている子どもたちを目の前にして逃げたらもう普通の人間には戻れない。
人間としての尊厳を問いかけてた。

この映画の公開直後に事件の再捜査が行われ、「トガニ法」というものが成立されることとなる。
詳しいところはウィキペディ等で見た後に調べるとより深い。

映画自体はとても辛く、鬱になりそうなくらいに雰囲気が陰鬱ですが、絶対に見るべき映画です。

人間には突如として必ず闘わなければならない時が来る。その時に逃げずに闘うことの大切さを教えてくれる。
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