千年女優

ドリームガールズの千年女優のレビュー・感想・評価

ドリームガールズ(2006年製作の映画)
4.0
多くの黒人を受け入れるもホワイトフライトへの反感高まる1960年代の自動車産業都市デトロイト。剛腕マネージャーのカーティスに見初められた三人組の女性グループ「ドリーメッツ」が、時代の流れに乗ってスター街道を歩み出すも残酷なショービズの掟と強引な売り出しの狭間で徐々に軋轢を抱えていく様を描いたミュージカル映画です。

ローリング・ストーン誌の選ぶ偉大なアーティスト100にも選出された「ザ・スプリームス」を暗示する物語をオスカー受賞のミュージカル映画『シカゴ』の脚本を務めたビル・コンドンが監督として手掛けた作品で、美貌から中心に祭り上げられるディーナをビヨンセ、それを良しとしない実力派エフィをジェニファー・ハドソンが熱演します。

物語は定型的な成り上がりと空中分解ですが、公民権運動只中の黒人文化を背景とすることで奥行きを生み出しており、加えて「なめてた相手がビヨンセとJ.Hud」という奥義で説得力と娯楽性を演出しています。所謂「売れ線」を巡る論争が「白人への迎合」へ繋がるブラックミュージックのジレンマと、それが故のパワーを感じる一作です。
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