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トゥルー・クライムのmementooreのレビュー・感想・評価

トゥルー・クライム(1999年製作の映画)
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ダーティ・ハリーにも言えるのかもしれないけれど、主人公の男の距離感が壊れていることが引っかかっている。同僚の妻と不倫をしてそのことで会社内の人間関係で揉めても、自身の妻ともめても、自分の娘に怪我を負わせてしまっても、とにかく無実の男の死刑執行を止めようと躍起になる。自分の周囲の生活や人間関係は正義をなすことの障壁であって、本当に正義をなすのであればそれらから自由にならなくてはいけないというようなことが前提になっている。特に無印ダーティ・ハリーはそうだった。だけれど本作ではそういう生活と理想の遠近感覚が反転した主人公のその身体こそが本当の犯罪であると名指されているようにも見える。さらっと見れてしまうのにどこか不穏。
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