okapi

タンポポのokapiのレビュー・感想・評価

タンポポ(1985年製作の映画)
4.5
園児の頃、父親とバスツアー?で動物園に行き、そのバスで流れてたタンポポ。
話はまったく覚えてないんだけど、女体に食べ物を乗せてる絵が卑猥すぎてずっと頭の片隅にあった映画、やっと見た。

胸焼けするくらい食、食、食だらけの映画。大筋は宮本信子演じるタンポポのラーメン屋を一流ラーメン屋にしていく話で、そこのストーリーには正直特にはグッと来なかったけど、この映画変わった作りでオムニバスなのか、そうじゃないのか、、、
ラーメン屋の話がずっと進んでるのに食にまつわる全く関係ない話がちょいちょい謎のタイミングで入ってくる。

だが全部の話で一貫として描かれるのは、「食」と「本能的な欲求」。
これでもか!というくらいてんこ盛りだし、そのオムニバスのようなエピソードが全部凄い良い。(ラーメン屋の話より)

特に死に間際にチャーハンを作った妻の話と(女優も凄く好みだった)食べ物で卑猥なやりとりをするカップル、スーパーの柔らかいものを指で押しまくる婆さんの話、逮捕されてもこの北京ダックあと一口食べてからにしてと願う爺さんが良かった。様々な視点でこれだけ食と欲求を表現できる愛が凄い。人間と切っても切り離せないからこそ、できる話だと思った。生々しく泥臭く、現実的なようでぶっとんでいる表現も好き。

エンディングの古い記憶の中にある遊園地で流れてそうな音楽とひたすら母乳を飲む赤ちゃんの絵しか流れないのも、根源的な「食」を体現していて良かった。
okapi

okapi