このレビューはネタバレを含みます
2時間半の長編だが最後まで引き込まれて楽しめた。
* 草刈正雄がかっこよすぎる。あの当時にこのバタ臭いハンサムはインパクトあっただろうなー。今見ると伊藤英明がちょっと似てる気がする。ウィキ見たらやはりハーフなのか、納得。英語の発音がけっこううまい?でも日本人らしさもあるなあとずっと思った。
* オリビア・ハッセーも超絶美人だ。今の美人じゃなくてあの頃の輝くような美人。
* パンデミックの描写は今見ると迫力というか恐怖を感じる。病死した死体を山と積み上げ火炎放射器で焼くとか描写としてかなりキツイ……。
* とにかく金がかかっているなー!という印象。しかも映画として正しい金のかかり方というか。CGなんて一切なく、南極ロケ(エンドロールでカナダがあったのでそのあたりでロケしたのかと思ったら)、潜水艦もチャーターするなど、CGでは出せないリアリティ。南極の光景の美しさ。その他世界各地での撮影、マチュピチュでの空撮など、映像はかなり見ごたえがあった。
* 日本の医療崩壊の現場、緒形拳と多岐川裕美の鬼気迫る表情。友人の子どもを乗せ小型ボートで船出した多岐川はどこかにたどり着いたのだろうか……。一瞬、ラストは彼女と草刈りが出会うのか?と思ったが、それだとオリビア・ハッセーの意味がなくなっちゃうしな、と察した。しかし緒形拳をこんなちょっとしか出さないってどんな贅沢なキャステイングなんだ(笑)。さすが深作欣二。
* 冷戦下のアメリカということでARS=自動報復装置が強調され、結果として世界に二度目の死をもたらす。あの頃ならありえる設定だろう。
* 南極に残された人々による新しい自治も興味深く思えた。最初のほうは国ごとの諍いがあったり、女性が8名しかいないことによりセックスというより生殖が管理されたり、このあたりで『ダーコーヴァ不時着』思い出した。
* 放浪中、廃墟でキリスト像の横にいた骸骨との会話、これが狂気に囚われたということらしいが、そんな感じは特に受けず、もっと純然たる心のなかでのやりとりという印象。
* 池袋交差点24時で「この広い世界の中で出会っちゃうんだから」みたいなこと言ってたので、どこかで偶然に出会うのだとばかり思ってたが、出会うのではなくたどり着くってかんじだった。
* ものすごく感動したというわけではないのだが、とても気合の入ったまともな邦画を久しぶりに見たような気がする。邦画と言ってもほぼ全編字幕だけど。仁義なき戦いの深作欣二がこんな映画を撮るとはなあ。