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大理石の男のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

大理石の男(1977年製作の映画)
3.5
先日、アンジェイ・ワイダ監督の洗練された作品を観てファンになり、
ポーランド映画祭で観てきました。

純朴で真っ直ぐなレンガ工が一時は英雄と持ち上げられ大理石の像まで作られたのに、党の思惑で人生を翻弄されます。

親世代の隠された歴史(1950年台)の真実を映画学校の女子学生の目を通して暴いていきます。

1970年台後半、まだポーランドがソ連の実質支配下の時にこの作品が制作されたこと自体凄いと思いました。

三時間近くの長編ですが、実際のプロパガンダ用のニュースや映像を折り込みながらスピード感と緊張感ある構成で、見ごたえあって面白かったです。


社会主義国でない国で生まれ育った者としては、この内部告発(劇中での映画制作)がいかに恐ろしいことかはあまりピンと来なくて、それよりも、純朴な人々がレンガ積み競争で英雄になるとか、疑うことなく政府主導の理想の世界を目指し、個を抑えて喜んで歯車になっている様子の方がそら恐ろしく感じました。

監督が若い世代へ希望を託した作品だと思います。

この続編『鉄の男』(1981年)はカンヌでパルムドールをとったそうです。観てみたいけど、どこにもありません…。DVDは高いし。
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