CSの衛星劇場で「幻の蔵出し映画館」枠で放映されたものを録画視聴しました。大映製のフィルムノワールで、最初は冤罪もののサスペンスかと思ってみていたらいつのまにか麻薬密輸団が暗躍するクライム活劇になっていました。
原作は島田一男、監督は村山三男。主役の苦学する大学生羽島役に菅原謙二、羽島の幼馴染で殺し屋の坂上に高松英郎、羽島を心配する刑事庄司で志村喬が出演しています。
マリヤと名乗るホステスが殺され、容疑者としてアリバイのなかった関東大学の学生羽島が逮捕されます。羽島の父は関東羽島組の大親分だったのですが、ヤクザを嫌う羽島自身はレスリングに打ち込む真面目な苦学生です。担当刑事の庄司は羽島が無罪と思い、その夜のアリバイを話すように諭すが羽島はなぜか語りません。羽島はその夜恋人春美と会っていたのですが、春美の両親からは結婚を反対されています。
冤罪事件を描くと思いきや、事件は予想外に発展して釈放された羽島が命を狙われます。庄司は事件に麻薬密輸団が絡んでいると羽島に話し、羽島は父親の昔の子分のヤクザの下に潜入して働くようになります。
この後庄司が撃たれ、羽島の正体がばれて坂上が殺しに来て、ラストのチェイスになだれ込むのですが、とにかくうまく作れば面白くなること必至だったと思うのに、いかんせんプログラムピクチャーのお手本のような粗削りな作りで脚本も編集も演出も演技も雑なので観ていてつらくなりました。これではソフト化は無理でしょうね。