けまろう

東京物語のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

東京物語(1953年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

スクリーンで『東京物語』鑑賞。小津安二郎の作品は『晩春』に続いて2作目。脚本も監督もキャストも被っており、印象は似たような感じだが、繊細に組まれたモンタージュは流れるように切り替わっていき、流石の巨匠と唸らせられる。
「自分で育てた子供達よりも、赤の他人の方がずっと良くしてくれる」という義理の娘である原節子に放った笠智衆の言葉が印象的、というよりも、この作品の核を端的に言い表している。大人になると家族は分解し、それぞれがまた家族となっていく。それは至って自然なことかもしれないが、対比されているのは「東京」と「尾道」であり、それ故にタイトルは『東京物語』なのだろう。尾道に残っている末娘と義理の娘だけが母親の死を酷く悼み、東京・大阪で独自の生活を営んでいる長男・長女・次男は両親に蔑ろな態度を取る。その描写は都会化による人間関係の希薄さを非難しているようでもあり、核家族化という戦後日本の親族の在り方に一言を呈しているようでもある。
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