ハレンチ学園在学生

東京物語のハレンチ学園在学生のネタバレレビュー・内容・結末

東京物語(1953年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

35年ぶりの久々の再見。本作のテーマは、ラストの笠智衆の台詞「自分で育てた子どもより他人(次男に嫁いだ原節子)のあんたに一番親切にしてもろうてありがとう」に収斂されている。公開当時の昭和28年ですでに核家族化と東京一極化が進んでいたのだろう。どうしても杉村春子が演じる図々し長女役に目が行くが、真に恐るべきは原節子の目の、表情による演技だろう。原が狭い自分のアパートに義母の東山千栄子を泊めたときに「もう(戦争で死んだ)息子のことは忘れて自分の幸せを見つけてほしい」と言われたときの流し目、電気を消して就寝するときに見開かれた目、尾道で笠智衆から形見に義母の時計をもらってほしいと言われて泣き崩れる前の目、帰りの汽車の中でその時計を見て遠くを思いやる目。どれも素晴らしい。原節子が名優と称される所以である。