このレビューはネタバレを含みます
観ていて心が痛くなりました。特に熱海のシーンは辛かったです。息子・娘、そして孫に会うことを楽しみに遠い東京まで来たお父さんとお母さん。だけど子供たちは彼らのことをお荷物扱いします。
熱海のシーン。熱海でゆっくりすればいいよ、そう言われて父母は熱海に行くけれど、熱海では若者が夜遅くまで騒いでいて、ゆっくりするどころか、眠ることさえできません。そして予定より早く(一泊だけして)帰ります。すると、娘が言い捨てるように一言。
「もう帰ってきたの?」
その台詞を聞いた時の父母の表情が今でも忘れられません。とても悲しい気持ちになりました。そして父母は息子娘に迷惑をかけたくないがために彼らの家を出て行きます。
「とうとう宿なしになってしもうた…」
観終わった後もずっと、お父さんとお母さんの、あの笑顔と寂しそうな表情が脳裏に焼きついて離れませんでした。
とても素晴らしい名作です。淡々と進んでいくストーリー、その奥には人間の繊細な心がとても丁寧に描かれていました。もう一度、じっくりとこの作品を観てみたいと思います。