mikoyan358

東京物語のmikoyan358のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
2018/11/11再鑑賞
4K修復版のスクリーン上映にて再鑑賞。両親が東京を訪れ、子供たちが出迎えそして...という、ドラマチックな展開がほぼ皆無の「日常の延長線上」。しかしながら、登場人物たちの会話、思惑、感傷など至る所に自分の人生の記憶が呼び覚まされるような共通の要素が散りばめられ、こういう奴いるよなーこういう事あるよなーとしみじみ思えるようになっている。最初に観た頃には子供たちの側に近い視点だったが、笠智衆の撮影時の年齢にごく近くなった今回は両親に半端ない共感が生まれるほど、年齢によって違う琴線に触れる作品でもある。まだ幸いにして孝行したい時に親がいる身として、彼らみたいに面倒くさがらずに(笑)心を込めて感謝を返していきたい。

2008/10/22鑑賞(鑑賞メーターより転載)
最初に観た時、小津映画とはどんなものかと半分期待、半分疑いながら観始めた。映像も特段派手な部分はないし、会話が淡々と続くのを横にいてずっと聞いている感じだったが、生き様・考えること・悩みなど、言葉にも映像にも明示されていない空気が不思議と明確に感じ取れ、終わってみれば登場人物たちの人生が自分の手元に残った。観終わって楽しかったとかそういう類の感想を持つことはないが、この映画およびこの監督と知り合えてよかった、と心底思える。派手なおかずでもデザートでもなく、日本人にとっての「お米のご飯」的な秀作。
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