ゆうゆ

Ricky リッキーのゆうゆのレビュー・感想・評価

Ricky リッキー(2009年製作の映画)
3.4

羽の生えた赤ちゃんに翻弄される家族の再生をシュールに描くオゾン版寓話劇。
娘と暮らすやさぐれシングルマザーと即席恋人、社会的底辺気味の母娘のささやかな生活に知らない男とベビーが乱入しはじまる '家族'という転機。 自分本位なおとな達が生まれた赤ちゃんの身体的特性に戸惑いながらもそれを受容し母性を開花させていく様子に 本物の天使の光が注がれていくようだった。

ふたりの間に突如生まれたベビーの愛くるしさに相対する 背中に生える羽の歪さ、檻のようなベビーサークルに閉じ込め羽ばたきを阻止される閉塞感は、恋人(義父)優先でおざなりにされていった娘の不安や寂しさが生んだ幻想にも思える。あのリッキー自体が実は 娘の妄想の産物だったんじゃないかと解釈。
ファンタジー寄りに見せかけて結構社会派。プロローグのやつれたおかんの涙があのラストの続きでないことを祈りたい。そこを明確に示さず観る側の想像に委ねてるのがオゾンぽくて良き🙆🏿‍♀️

リッキーと娘の可愛らしさはもちろん、子供とは思えない演技力にびびる。他のオゾン作品でも思ったのだけど 赤ちゃんが完全に意思を待って演じているようにしか見えない。演出力やカメラワーク、あと絶妙なショットを捕らえるスタッフの根気もすごいのかな笑
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