ゆうゆ

ヴァンダの部屋のゆうゆのレビュー・感想・評価

ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)
3.3

リスボンのスラム街 、葬られかけた街で世界に見捨てられ堕ちるように息をする人たち。埃と咳と吐瀉物の臭いの粒子が蔓延するひかりの届かないシミだらけのベッドの上で終始ドラッグに耽りうまれた場所の思い出にしがみつき それでも生の灯火を儚げに燃やしつづけるヴァンダの憂い。これが本物のドキュメンタリーなのだとしたら、彼女の未来は肉体を蝕むリアルな闇にどれほど侵されているのだろうと思わず憂慮してしまう。
抑揚のない3時間は苦行でしかなかったけど 彼らの人生を思うとドラッグの煙ほどの一瞬。朽ちていく暗闇と轟音の中で微かにとどくひかりの構図と時折絵画を思わせる はっとするような耽美なショット、それはこの場所で2年を費やした監督の捕らえた奇跡の視点なのかもしれない。
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