漢たちも男子力を磨くべし(笑)①

ドンパチがないお気に入りの戦争映画♪
流動的な情勢に関わろうとしない頑な姿が滑稽でありチャーミングな鬼軍曹(リチャード・アッテンボロー)主人公。
この認知度の低さはなぜなのか？(笑)
本も面白いし、一応…英国アカデミー賞最優秀男優賞も獲得している名演なんですが(笑)(笑)
なぜかDVDの画像がジョン・レイトン。
ミア・ファローもチョロっと出演しています。
ラストシーンで居場所を失って消沈しながらも、しっかりと大地を踏みしめて歩いて行く軍曹の切なさ混じりの後ろ姿が何とも潔くて誇らしい。
男子力up指数　７０％

鬼軍曹というタイトルは見るまえは有能そうなイメージだが、作品を見終わると皮肉のような意味あいに思えてくるはず。

イギリスに従っているアフリカ某国の都市バタシに駐屯するイギリス軍の一部隊、ところがそこで大規模な独立クーデターが起きてしまう。当初は気づかなかった主人公の鬼軍曹で部隊を率いるリチャード・アッテンポローたち部隊だが、彼らの動向に気付き武器を持って立て籠るが…。教えていた部下たちと戦わざるを得ない内戦をシリアス一辺倒ではなく、ウィットに富んだ言動や行動を交えてクールに描いたエスプリの効いたイギリスらしい戦争のない戦争映画。独立グループと主人公たち部隊をどちらにも肩入れすることなく演出もドライな雰囲気を助長している。またアメリカ映画では当然あるはずの戦闘シーンを物語の流れから巧妙に外していき会話の報酬のみで緊張感を維持し、二転三転いく展開が結末がどう転ぶか予想させない面白いを生む。

この映画を支えているのが主人公を演じるアッテンポローで、1960年当時から見ても古くさい規律に厳しい英国軍のスタイルを固辞している軍人としての一面と愛嬌ある丸顔と時代錯誤からくるユーモアな一面を両方とも表現し映画の世界を豊かにしている。そんな彼が非常事態に対し誇り高く接するもその石頭により現代の政治動向にまったくついていけず、彼の決死の反撃も無駄に終わる様は一つの時代の終焉を見ているようで物悲しい。ジャック・ホーキンスをはじめとする他の軍人たちの飄々とした演技も映画の緊張を適度にほぐしてくれる。溌剌としたミア・ファローの魅力も作品の見所。

ラスト、軍人としての尊厳を奪われても誇りを忘れず一歩一歩力強く踏みしめて前進するリチャード・アッテンポローの名演に胸を打たれる。

政治事情により国に裏切られる形になったアッテンポローがはからずも大事にしていた皇室の写真に怒りをぶつけてしまったブラックジョークと悲しみが入り交じったシーンも忘れがたい、でも同じようなことを日本でやったら大炎上するんだろうな。それと後半ある作戦のため陽動の意味で歌を歌う部下たちの真剣なのにどこか馬鹿らしさ漂う姿に笑ってしまう。

観る観ないか迷ったが観て良かった。リチャード・アッテンボロー演じるローダーデイル特務曹長は鬼軍曹というより、会社にもいるうざめの上司みたいだったが、全く嫌いになれないうざめのおじさんでした。