『妖獣都市』と『魔界都市〈新宿〉』でエログロ東京をお見舞いし心を鷲掴みにした川尻善昭が放つ、山田風太郎（以下、ヤマフー）フォロワーのエログロ時代劇。別名、川尻変態忍法帖。やたら血がビュービュー飛び出し（主人公の吐血の量すら多い）、四肢が景気良くふっ飛ぶ。原作とクレジットしてもいいぐらいヤマフー感がすごいというか、ヤマフーの面白いところを勝手にバシバシ抜き出し、ぶち込んだみたいな作品。本作のヒロイン陽炎は、セックスした相手は毒で死ぬというフグみたいな忍法を持っているのだが、そういえばヤマフーの小説でそんなくノ一がいた。
巻き込まれ主人公に鬼門八人衆が襲い掛かるというのが大まかな筋だが、この鬼門八人衆というのが変態忍法のフリークス忍者集団。股間から蛇を出す女、体内に蜂の巣を持つ男など、変態性極まった忍者のオンパレード。『妖獣都市』、『魔界都市〈新宿〉』から連なる川尻エログロ3部作3作目だと思っている。
最後は燃え盛る炎の中の一騎討ちと、これは『魔界転生』の最終戦のイメージなのだろうか。ラスボスがチート忍法なのもヤマフー風味。
