いぐあな

活きるのいぐあなのレビュー・感想・評価

活きる(1994年製作の映画)
4.5
物凄く興味深かった。
それがこの映画を観ての何よりの感想。好みの映画。

時は第二次世界大戦後あたりから、時代に翻弄されたとある家族の物語。
家族の生活を通じ、民衆の視点から見た中国の共産体制への変移の様子がありありと描かれる。これがもう匠!共産主義がどのように浸透して、民衆の生活がどう変わっていったか。年表でしか知り得なかった中国の近代史。40年代、50年代、60年代と区切られることでよりリアルに体感できた。
凄い。

もちろん物語としても捻りが効いていて面白く。
特に肝となりそうなセリフまわりをしっかり覚えておくと、彼らの心に渦めく様々な感情や皮肉を興じられる。
この家族なくしてはここまで感情が入り込めなかった。
決して悲劇にはせず、家族の、活きる民の力強さがしっかりと描かれている。

個人的には作中演じられる幻想的な影絵芝居が好き。40年代前半の色気ある街の雰囲気や艶やかな服装にも惹かれる。
このような伝統文化的なものを捨て去り、彼らが新しく得たのは、画一的で無個性で平等な世界。のはずだが、極端な理想の元、政治の迷走は続く。。。
今日までも続く長きに渡る迷走に、現在の民衆はどう思っているのか。本音を聞いてみたくなる。

これを作った人たちは、当局から弾圧されなかったのか。大丈夫だったのか。。

台湾。香港。大好きなこの国々が、これからも美しく艶やかな国であってくれますように。。願わずにいられない。。。
いぐあな

いぐあな