春花とおく

ロッキー3の春花とおくのネタバレレビュー・内容・結末

ロッキー3(1982年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

始まってすぐ、前作の一番盛り上がるところを流してくれるのがありがたい。毎回、初めから盛り上がって楽しめる。今回は特に負けがあるから、勝利が対比となってより緩急がでる。

この「負け」は、上がるか下がるかで言えば、普通に考えて後者だろう。成り上がった者が栄光にかまけて堕落する、そして再起する。ありガチ(ロッキーともなれば元祖とも言えようが…)なストーリーだが、やはり前作で努力・成長する主人公が堕落する姿を見るのは悲しい。しかし、その「堕落」っぷりが相手と対比されるその映像のロッキーの幸せそうな姿、「お幸せな家庭」には悲しくも喜びを感じずにはいられない。ロッキーも、エイドリアンも、あれだけ頑張ったのだから……

そしてこれもまた定番の「かつてのライバルとの共闘」展開。非常に熱い。アポロというキャラがよい。初代ではロッキー同様「虎の目」を失いつつも高い壁となり、潔く負けを認め、クラバーの挑発を介さぬ大人っぷり。ロッキーに並びカッコイイ。

しかし、今作特に成長を感じられたのはエイドリアンだ。初代では、あくまで彼女は「彼女」で、応援はしても、ロッキーが頑張りを見せる対象でしか無かった。2では病床に倒れ、ロッキーの奮起の原因となったとはいえ、それはロッキーの意識の問題だった。ただ今回は、ロッキーの様子を眺めながら悩むシーンが多用され、砂浜のシーンでロッキーと激しく議論するなど、まさに主体的か「ボクサーの妻」になっている。その明らかな印として、ロッキーの修行の場に彼女の姿が現れたシーンが多い。そして「エイドリアーン」も「私の妻に〜」
もない。その場で「最高だ」と共有できるのだから。

ロッキー史上一番悲しくも、一番喜びある作品だった。
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