ペイン

快楽のペインのレビュー・感想・評価

快楽(1952年製作の映画)
5.0
マーティン・スコセッシやポール・トーマス・アンダーソンがビックリ仰天し、自作で真似ようとしたのも納得の驚異的すぎる長回し移動撮影、流れるようにスマートで洒落た語り口。

ただひたすらに豊かな映画と言わざるを得ません。


“幸福とは悲しいものなのさ”
“楽しいことだけが人生じゃないわ”
19世紀の「快楽」を描いているはずの本作だが、観終わった後には「快楽」というタイトルがなんとも皮肉に感じられるほど重いものが心にのしかかってくる。


三部構成のオムニバスになっているのだが、特に一番尺の長い第二話の“館”の女性たちを描いた物語が圧巻!彷彿したのは溝口健二の「赤線地帯」で、これほどまでに女性たちを愛とリスペクトを込めて描いてる映画は初めて観ました。隅から隅まできらびやかな衣装と美術で埋め尽くされており、今観ても眼福極まりないです。あと“階段”を使った演出と“ランプの点滅”による演出の反復の巧みさにも唸らされた。
 

P.S.
冒頭
“すでに古びてしまった物語なので、現代の人々のお気に召すか心配です”という謙虚なナレーションが入るのもたいへん好感が持てる。ヒッチコックやスコセッシの映画を観て驚いた演出の源流がまさかこのマックス・オフュルス監督だったとは…それにしても最近5点満点の映画に連続で出会いすぎて水をあげすぎた花の如くひからびそうだ(笑)
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