ロメールの政治もの。
例によって喋りまくりなんだけど、内容が政治的なものも多いので、字幕を追うのが忙しく、一度では理解が難しいと思われます。2度目くらいから少しずつ苦行が快楽に変わってくるでしょう。
この作品を難しくしてるのは内容もさることながらコンセプトですよね。「もし〜」というタイトルが付いた 7つの段落で構成されているので「どういう意味??」みたいに感じるんだけど、むしろ、それを取っ払って普通に見ると理解が早い気がします。
ちょうど最近「天使が見た夢」で「そもそも、もし彼女たちが出会ってなかったら、こんな運命にならなかった…」と私が書きましたが、そういう感覚を、この作品は具体的に表したものである、と考えるといいです。
つまり、いくつかの偶然がある方向に転び、流れが変わってゆく、世の中とはそういうものだ、ということを、この作品は「わかりやすく(わかりにくく)」表現しているだけなのですね。なるほどねえ。
一つ思ったのは、ともかくみんな策士ですから、特に編集長なんか記者さんの勘違いや留守をいいことに、それを自分の都合いいよう利用してしまった感があり、仕事において他人にスキを見せるのはホント気をつけないと、と思わされますね。
そういう意味では他のメンバー、市長にしろ愛人の作家さんにしろ迂闊すぎるんですよ。もっと狡猾じゃないと政治家なんか出来ないでしょと。
先生はキャラ勝ちですね。このように過去も周りを動かしていたのではないかしら。そういう父を見てるから長女もしっかりしています。自分の意見を市長に言えるのは、映画ならではの誇張ではなくて、実際にそういう育ちもあると思います。
他の作品もそうだけどロメールの場合、日本語タイトルも癖がありますよね。普通のキラキラ系洋画みたいに「木と市長と文化会館〜または七つの偶然〜」みたいな書き方だと入りやすいです。まあそこも敢えて狙っているのだろうなあとは思いました。
まあともかく。慣れると楽しい映画でした。笑。